9月19日 野良猫ノア

野良猫ノアちゃんの写真がありません。。。

 

実家は犬派でも猫派でもなく両方が好きでした。でも実家に野良猫ノアちゃんがやって来たことで少しそのバランスが崩れました。猫を知らなかっただけなんだと思いますけど。ノアは何かして欲しい時だけ、撫でて〜ってすりすり寄って来て、飽きたら突然、殴る蹴る引っ掻くまでしてどこかへ行ってしまいます。飽きたらもう要らないよ〜って軽く伝えてくれれば良いじゃないか!となるんです。

時には、すれ違い様に人の背中を駆け登り頭のてっぺんからジャンプして冷蔵庫の上に乗っかってこちらを見下ろします。爪が頭や背中に刺さって痛いのなんの。でも、どうやって降りるのよ。私はその近くには絶対に行ってあげませんよ。

愛情表現の仕方も犬とは違って外で捕まえてきた死にかけのトカゲやカマキリをベッドに持ってきたり、家の中に雀がバタバタ飛んでいたり、ろくなことがありません。でも嫌いにはなれないんですよね、可愛いから。。。母が外から帰って来た時、偶然にもノアが外から雀を咥えて帰って来たところでした。玄関のドアの前でドアを開けて〜にゃぁって鳴いた途端に雀が飛んで行ってしまいました。それからノアは獲物を咥えている時は絶対に鳴かなくなったそうです。

先日は母の悪口を書いたので、今日は名誉挽回の為に、そんな悪い人でもないのよ、と言える、野良猫ノアちゃんとの出会いを書いておこうと思います。17年生きた猫のことを書くので少し長くなります。

グラナダという種類の薔薇です。


母が犬の散歩中に空き地に転がっていた段ボールの中を覗いてしまったのが運の尽き、いえ、縁の始まりでした。炎天下にプッチンプリンカップを頭にかぶってひっくり返って息絶え絶えに寝ていた(気を失っていた?)猫の赤ちゃんを見てしまい、慌てて獣医へ連れて行きました。獣医さんは、「あぁもう一匹いたのか」と言い、母の前に同じ柄の雌の子猫を2匹連れてきた人が居たことを教えてくれたそうです。その人は雄猫は要らなかったのでしょう。偶然にも同じ獣医さんにかかりましたが、その雌猫ちゃん達は残念ながら助からなかったそうです。そして最後の生き残りの雄猫の赤ちゃんにノアと名づけました。ノアの方舟から縁起を担いで生き延びてほしいと思ったそうです。呼び方は普段はのんちゃん、ノアちゃん、少し怒るとノン、ノア、本気で怒ると野良!となります。

母は針のない注射器を獣医さんにもらい、これでミルクを与え、大切に育てました。母のお陰で家の中でだけは偉そうに逞しく、外ではビクビク弱腰の臆病猫に育ちました。

家の前の空き地で定期的に行われる猫の集会では仲間に入れてもらえず、いつも少し離れた道路からミーティングを見ているだけでした。カラスの気配がすると頭を抱えて隠れるフリをして、一目散に逃げ帰って来たり、怖くて動けないときは猫撫で声で家族を呼び、父が外に出て行くと一緒に帰って来る弱虫猫でした。

母は自由に出入りできるよう電動の猫用ドアを台所の勝手口に取り付けました。特定の首輪をつけている猫だけが出入りできるドアです。でも電気代がもったいないとコンセントは繋がずにいましたが、追いかけられて近所の猫達丸ごと家の中に招き入れてしまい大乱闘が中で始まりました。これには父も母も参戦してノアを守ります。肝心のノアは上に上がっていき暫くどこかに隠れていました。夕方になってお腹が空いて出て来たそうです。そして、そのドアから猫達が自由に出入りしてノアのご飯を食べていくようになったので、仕方なく電源を入れたのでした。ようやくノアだけが出入りできる専用ドアとなり、何度も逃げ帰って来ました。

犬の散歩に行く時も人間と犬は玄関から用意をして出かけた頃、のんは自分専用のドアから出て来て外で合流します。暫くはついて行くのですが、あちこちに興味が行くので先に走って近所の庭に入って行っては母達を見失い、泣いて呼びます。なので母の犬の散歩はいつもジグザグ進んでは後ろに下がり、時にはご近所さんが顔を出して、「のんちゃんうちに居るよ〜」と手招きで教えられたり。

目を丸くして訴えてくる時は天使のように可愛いのですが、恩を仇で返して後ろ足で砂どころかおしっこをスプレーしていく猫でもありました。家族全員がこの犠牲者です。私もシャワーを浴びてドライヤーをかけていると背中がモヤっと暖かくなり、余りの臭さに振り向くと棚の上からお尻をこっちに向けて振り返っているノアと目が合いました。またもシャワーの浴び直しです。スプレーする癖は去勢しても治まらないし、雄猫が拾って貰えなかった理由を身をもって知るのでした。

実家の建て替えで、この猫と一緒に2回引越しをしました。建て替え中の引っ越し先では近所のおじさんが、「この猫はうちの猫にそっくりだ。30万円も出して買ったうちの猫の子供だ。2晩も帰ってこなかった時がある、その時の子供に違いない。お金を払うか返してくれ」と交渉して来たらしいのです。絶対に違う自信があったので母は相手にしませんでした。

外で穴を掘っておしっこをしてそこに落ちたり、雨になると大喜びで出かけてドロドロになって帰ってくる変な猫でしたが、父と母からは猫可愛がりで大事にされ17年生きました。のんが悪さをする度に、あの時あのおじさんにあげて仕舞えば良かったと、ここまで育てたんだから反対に医療費を払って貰えば良かったと母は冗談を言って笑いましたが、今はご近所さん達と協力して捕まえては去勢しに獣医さんへ連れて行ったり、家家で順番に外で餌をあげるだけの関係に留めているようです。