2月18日 お局様

ローズリリー

 

新人の頃、私の配属された横浜オフィスには12人、同じ部署には3人で配属されました。

お局様もいましたが、ただはっきりと物を言うだけで根はとても良い人たちでした。

コンピュータのパーツなどが世界中から輸入されて工場で組み立てられ客先へ出荷されていたのですが、そのパーツが届くのが遅れたり、混んでいるとデータのアップデートがされず入管が遅れたりして納期を客先とコーディネートするのに苦労しました。

納期ギリギリで出荷部門に急いで詰め合わせてもらえれば締めに間に合うというタイミングもあり、ヒヤヒヤすることも多くありました。

出荷部門のある支社のお局様がとても怖い人で、お願いの電話をするといつも不機嫌極まりない声で電話に出ました。

同じく新人の同期が例外の手配をお願いしようと電話をして名前を名乗り、オーダーナンバーを伝えようとすると、「要件は何よ!要件を先に言いなさいよ!」と怒られました。要件を伝えるとイヤイヤ怒鳴りながら、嫌味たっぷりにネチネチ電話を長引かせ、ギリギリになって受けてくれて納期に間に合わせることができましたが、私達の間では彼女に電話をする時には要件を先に伝えないと怒られる〜と広まったのでした。しかも彼女のネチネチが無ければもう少し早く手配が終わるというのに。そのネチネチのせいで同期はおトイレの音姫を流してよく泣いていました。納期をこれ以上遅らせなくて済むというのと、ネチネチに開放された涙でもありました。

その数ヶ月後に今度は私がお願いすることになり、名前を名乗って要件を伝えようとした処、「オーダーナンバーは何よ!どこのオーダーだか分からないでしょ!オーダーナンバーを先に言いなさいよ!」と怒鳴られました。え?あれ?この前は要件を先に言えって怒ってたんじゃ。。。動揺してシオロモドロしてしまいました。しかも前回と同じようにネチネチと約束なんかできないし、やってあげても無理だったら時間の無駄だとか、やっても無理だったらどうするのよ、私の時間を返してくれるのと延々と続きます。彼女の機嫌をこれ以上損ねたら手配をしてくれないかもしれないと思うので黙って聞きました。

面倒をかけるのは申し訳ないけど、納入先はお役所だったり、特別に手配をして交通を止めていたり、納期が1日遅れるだけで何百万円という損失になるという、これ以上1日も遅らせられない状況で営業を始め部署の係長も綱渡り感いっぱいで私を見つめていましたが、電話をして名乗っただけで怒鳴られる私を見て怪訝な顔になりました。

兎に角、こちらのお願いを受けてくれて処理する時間が済むのを見計らって、営業と係長がその態度は何故?と彼女に電話をしてくれました。特に営業は彼女のいる事業所長まで通して苦情を入れました。

同じ社内のチームと思って働いているのに、しかもあなたのお給料だってオーダーがあるお陰で入ってきてるんでしょう。助け合いの気持ちがないならこの仕事には向いてないんじゃないかしら、こんな事をされたらウチの新人が皆んな潰されてしまう。まずはやる事はやって、文句があるなら後から係長の私に電話してきてくださいと私の目の前ではっきりと言ってくれました。

花びらが何層にも会って面白いですね。

 

頼もしい!と思うと同時に、私もこういう先輩になろうと誓ったのでした。

何かが間違っている時に、下手にばかり出ているとストレスが溜まるし自分も病んでしまいます。後輩ができた時にも理解を示して最初の何回かは代わりに謝りの電話をしてあげたりを率先してやりました。係長や先輩の態度を見て私も後輩たちも逞しくなっていきました。これは転職した後も同じで私の態度次第で良くも悪くもできるのだなと感じました。

そのお局様はそれ以降は私や同期の事が大嫌いのまま抑揚のないイライラを抑えて話している感じは伝わってきましたが、怒鳴ったりネチネチすることは無くなりました。

その後はクリスマスやバレンタインデーなど折りに触れ甘い物を贈りお礼を言い続けたら態度も軟化してくれました。お局様も不満を聞いてもらったり、理解を示して欲しいのでしょうが愚痴を聞く時間はないのでその線引きは難しいですね。